庭やベランダ、公園、テニスコートやサッカー場など、さまざまな場所で活用されている芝生には、人工芝と天然芝の2種類があります。
実際に自宅の庭などに施工する場合、人工芝にすべきか天然芝にすべきかで悩む方もいるのではないでしょうか?
今回は、人工芝と天然芝にはどのような違いがあるのか、メリット・デメリットや適している状況など、芝生を施工する際に役立つ情報について紹介します。
人工芝とは?
人工芝とは、その名の通り人工的に作られた芝生のことを指します。
単語としてはよく聞くことはあっても、実際どんなものなのか、というところまでご存知の方は少ないでしょう。
そこで、まずは人工芝の特徴や、施工する際に確認しておきたい内容について、見ていきましょう。
人工芝の特徴と一般的な素材
人工芝は、天然芝のような手入れが必要なく、比較的容易に管理できる特徴がある芝生です。
一般的には、合成樹脂(ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)が素材として使用されています。
人工芝は約7~10年程度もつといわれており、この間劣化することもほとんどなく、スポーツなどで頻繁に踏んでも損傷しにくい強さが魅力です。
手触りや耐性などは人工芝の種類によって異なるため、自分好みのものを選択できる特徴もあります。
人工芝の価格帯と主な購入方法
人工芝には、大別してマットタイプのものとロールタイプのものがあり、大きさや販売元の業者によって価格が異なります。
一般的にマットタイプのものは1枚あたり約100円~500円程度のものが多く、1枚あたりのサイズは30cm×30cmが基本です。
一方ロールタイプの場合は、1㎡あたり約1,500円~4,000円程度が目安で、1ロールのサイズは2m×10m=20㎡のものが中心。
購入方法はさまざまで、ホームセンターやDIYショップ、ネット通販などでも購入可能です。
施工方法の概要
人工芝は、自分でDIYして設置することもできますが、範囲が広い場合などは業者に依頼して施工してもらうこともできます。
施工方法の主な手順は以下の通りです。
- 除草作業を行って芝生を敷く場所を整える
- スコップやシャベルで整地し、凹凸などをならす
- 防草シートで地面を覆う
- 人工芝を敷きながら、適切なサイズや景観に合わせてカットする
- 芝生にピン打ちや接着剤による固定作業を施す
また、芝丈が長ければ、自分好みの長さにカットすることも可能です。
天然芝とは?

天然芝とは、人工芝とは異なり天然の芝草のことを指します。
ここからは、天然芝の特徴や施工方法、価格などについて紹介します。
天然芝の特徴と一般的な種類
天然芝の特徴は、人工芝と違って成長によって伸びたり、季節ごとに違う景観を楽しめる点にあります。
天然芝にはさまざまな種類がありますが、大きくわけて「日本芝(高麗芝)」と「西洋芝」の2種類です。
高温多湿に強く病害虫にも強い日本芝と、冬枯れで茶色くなることがない西洋芝など、芝の種類ごとに特徴があります。
人工芝とは異なり、あくまでも植物であるため、管理や手入れを行う必要があるのも特徴です。
人工芝の価格帯と主な購入方法
天然芝は、人工芝と同様にホームセンターやネット通販などで購入することができます。
価格は、約37×30cmのシート状になったもの9~10枚程度の1セットで1,000円~3,000円程度が目安です。
なお、価格は芝生の種類によっても異なるため、選ぶ際に注意してください。
また、施工を業者に依頼する場合は、別途施工費が必要になります。
一般的には、1㎡あたり約10,000円前後の施工費が必要です(材料費込みの目安)。
施工を依頼する場合は、芝生を敷く際に必要になる目土や雑草の除去費用なども含めて、予算を事前に確認しておきましょう。
施工方法の概要
天然芝の施工方法は、人工芝と異なる手順もあります。
自分で行う場合は、材料や天然芝を敷くスペースの下準備なども丁寧に行うことが重要です。
- 除草作業を行って芝生を敷く場所を整える
- 芝生を敷く場所を5cm掘り下げて土を平らにならし、踏み固める(散水すると良い)
- 芝生用の培養土などを敷いて、凹凸がないようにならす
- 芝生のシートを並べていく
- 芝生シートの上から芝生用目土をかけて全体に広げる
- たっぷりと水やりを行う
芝生シートの敷き方にもさまざまな方法があり、ベタ張り・目地張り・市松張り・条(すじ)張りなどから、好みの方法で施工することができます。
人工芝と天然芝どちらがいい?適している状況や条件
人工芝と天然芝にはそれぞれに特徴があり、適している人や場所が異なります。
重要なのは自分に合うものを選択することなので、管理方法なども含めてチェックしておきましょう。
人工芝が向いている人や場所
人工芝が向いているのは、手入れに手間をかけたくない人や、日当たりが悪く天然芝を敷くことができないような場所です。
マンションのベランダや屋上など、通常では天然芝を敷くことができないようなコンクリート上にも、人工芝なら敷くことができます。
また、メンテナンスが必要ないことから、管理や手入れの負担を減らしたいという人にもおすすめです。
天然芝が向いている人や場所
天然芝が向いているのは、四季で変化する景観を楽しみたい人や、日当たりの良い場所です。
また、敷く際にかかる費用は人工芝より安く済むため、初期投資を抑えたい人にも適しています。
四季によって葉の太さや長さ、緑の濃さなどの変化を楽しむことができるため、手入れをしながら植物を育てることが好きな人にもおすすめです。
人工芝・天然芝のメリットとデメリット

人工芝・天然芝にはそれぞれにメリットとデメリットがあります。
実際に敷く前の段階でそれぞれの特徴を比較しながら、どちらが適しているかを検討してみてはいかがでしょうか。
人工芝のメリットとデメリット
人工芝のメリット
- 枯れることなく1年中緑を楽しめる
- 管理や手入れの手間がかからない
- スポーツを楽しめるほど強度に優れている
- うまく育たないなど失敗する心配がない
- コンクリート上にも敷ける
人工芝のデメリット
- 初期設置費用が高い
- 経年劣化によって芝がへたれてしまうため、敷きなおしが必要になる
- 熱を吸収しやすいため、夏場は対策が必要
- 景観に変化がなく季節感に乏しい
人工芝の寿命は約7~10年とされており、その間ほぼ手入れの必要はないものの、寿命が来た場合には敷き直しに費用がかかります。
天然芝のメリットとデメリット
天然芝のメリット
- 初期設置費用が安い
- 四季ごとの景観の変化を楽しめる
- 柔らかく、クッション性に優れている
- 夏場に熱くなりにくい
天然芝のデメリット
- 手入れの手間がかかる
- 冬場に枯れてしまうと緑が損なわれる
- うまく育たないことがある
- 除草剤が使用できないため、除草作業が大変
天然芝は、植物である以上こまめな手入れが必要になります。
初期費用は人工芝と比べるとずっと安く済みますが、ランニングコストや寿命を考えると、実はコスト面での差はほとんどありません。
人工芝も天然芝も長所を活かして活用しよう!
人工芝・天然芝にはそれぞれに適した環境があり、長所を活かして施工を行うことが大切です。
また、費用面で比較する場合には、初期費用だけでなく管理維持にかかるコストなども含めて総合的に判断しましょう。
走り回る庭には天然芝、ベランダには人工芝など、設置場所によって使い分けるのもおすすめです。
また、昨今は天然芝に劣らない感触をもつ人工芝や、熱対策を施した人工芝も登場しています。
天然芝のメリットは魅力だけど、手間がかかるのはちょっと…という場合は、人工芝で目的に合う商品を探してみるのもいいですね。
緑の景観をどこでも楽しめる人工芝と天然芝を、生活空間の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。

株式会社モノガーデンのゼネラルマネージャー。モノガーデンオリジナル人工芝の商品開発・改良、品質管理責任者。モノガーデンの人工芝施工では主に現場監督を担当、自ら施工もこなす。