手軽に緑の空間を作ることができる人工芝。
場所を問わず敷ける便利なアイテムですが、屋外に設置した場合、その素材から高熱になる場合があります。
今回は、熱を持ちやすい人工芝をとくに夏場に使用するメリット・デメリットと、熱への対策について紹介します。
人工芝をこれから敷こうかと検討している人や、人工芝を初めて敷いた人は、ぜひ一度ご確認ください。
夏の人工芝は熱いって本当?熱を持ちやすい構造的な理由

人工芝は、ふわふわとした感触で、子どもやペットの遊び場や裸足で歩けるリラックス空間を作ることができます。
しかし、人工芝は天然芝よりも熱を持ちやすい性質を持っていることから、屋外で使うときはこの特徴を理解しておく必要があります。
人工芝の素材は熱をため込みやすい
人工芝は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの「合成樹脂」でできています。
合成樹脂=石油系の素材で、身近なもので言うと「プラスチック」と同じです。
石油系の素材は熱を吸収しやすく、吸収した熱をため込みやすい性質を持っています。
天然芝は、植物なので表面から水を蒸発させることができるため、表面温度はそれほど高温にはなりません。
しかし、人工芝は水分を持たず、蒸発もさせられないため熱くなりやすく、その表面温度は50~60度にもなってしまいます。
夏場の人工芝のメリットとデメリット
夏場には熱くなる特性がある人工芝ですが、活用するメリットも大きいものです。
ただし、熱い以外にもデメリットがあるため、ここからは夏に人工芝を使用するメリット・デメリットを比較しましょう。
自宅でアウトドアが楽しめる
人工芝を敷いたスペースにベンチやチェア、ハンモックを用意すれば、自宅でもアウトドア気分を楽しむことができます。
日陰を作れば、外でくつろいだり、お昼寝をしたりすることも可能です。
さらに、バルコニーやベランダで子どもが自宅キャンプをしたり、広い庭であればサッカーやキャッチボールをしたりと、活用の幅はかなり広いといえるでしょう。
虫の発生を予防できる
通常人工芝は、敷く時にしっかりと雑草対策を行うため、その効果により虫がわく心配がなくなります。
天然芝の場合、ガの幼虫やカメムシが発生しやすく、害虫駆除の手間がかかります。
また、くぼみができやすい庭であれば、雨水がたまってボウフラが発生、蚊が大量にわくこともあります。
一方の人工芝は、きちんと排水を意識して設置すれば水がたまる心配もなく、蚊も発生しにくいといえるでしょう。
メンテナンスに手間がかからない
夏場の天然芝は、草刈り・水やり・防虫対策と、メンテナンスに手間がかかります。
しかし、人工芝は基本メンテナンスフリー。
簡単な手入れをするだけで、きれいな状態を保つことができます。
人工芝で必要なメンテナンスといえば、使っているうちに倒れてきてしまう芝葉をブラッシングして立たせる程度。
そのほか、落ち葉や砂が入りこんだ場合でも、さっと掃けば簡単に除去できます。
カビや雑菌が発生する可能性がある
人工芝は施工方法が悪いと、水がたまりカビや雑菌が発生してしまう可能性があります。
土の地盤に敷設する場合は自然と水が吸収されますが、コンクリートのうえに敷く場合はとくに注意が必要です。
人工芝を敷くときは、水の流れをせき止めないよう排水の流れをしっかりと意識しなければいけません。
排水口や雨水升を塞いでしまわないよう注意することも大切です。
火気厳禁
人工芝を敷いたら、その上でバーベキューを楽しもうと考えている人も多いでしょう。
しかし、ポリエチレンやポリプロピレンでできた人工芝は、火を近づけると溶けたり燃えたりする可能性があります。
そのため、人工芝の上でバーベキューするのは厳禁。
もちろん、花火やタバコの吸い殻もNGです。
人工芝のなかには、防炎性能を持った製品もあります。
防炎性能がついた人工芝は全く燃えないというわけではありませんが、延焼拡大しない、軽く焦げる程度で済む等、火災の拡大抑止には一定の効果が期待できます。
人工芝が熱くなった時の対策

それでは、熱くなりやすい夏場に人工芝を活用したい場合、どのような対策ができるのでしょうか。
最後は、熱さへの対策について紹介します。
打ち水をする
夏場にコンクリートやタイルに打ち水をすると、蒸発するときの気化熱で温度が下がることは、ご存知の方も多いでしょう。
同様に人工芝に水をかけると、表面から水分が蒸発し、熱を逃がしてくれます。
人工芝は「熱しやすく冷めやすい」ため、水をかけると一瞬で冷やすことができます。
基布面と下地にも水が行き渡れば、さらに冷却効果が期待できます。
ただし、先述の通り水はけが悪いとカビの原因となるため、適切に施行されていることが前提です。
遮熱効果のある製品を利用する
長時間直射日光にさらされていても、熱くなりにくい人工芝も存在します。
どうしても人工芝が熱くなるのを避けたい場合は、そういった製品を選ぶことも一つの手です。
ただし注意点として、熱くなりにくい人工芝は芝そのものが熱くなりにくい代わりに、周辺の温度が高くなります。
原因は、高熱を防ぐ為にコーティング剤で太陽光を反射させているから。
人工芝が熱くならない代わりに、人工芝の周囲が熱くなってしまってはあまり意味がありません。
熱くなりにくい人工芝を選ぶ場合は、そういったデメリットがある点も考慮に入れましょう。
日よけ・シェードを利用する
太陽光が直接当たることを防げれば、人工芝の温度の上昇は防ぐことができます。
そこで、人工芝の周囲に日よけ・シェードを設置すれば、簡単に日陰を作れます。
日よけやシェードは紫外線対策にもなり、日焼けが気になる人にもおすすめです。
またお子さんが遊ぶ場合は、日陰を作ったうえでテントなどを設置すれば、安全な休憩スペースが作れます。
日よけ・シェードにもさまざま種類がありますが、断熱・遮熱効果があるもの、UVカット率が高いものを選ぶと良いでしょう。
防水・撥水性能が高いものであれば、耐久力もありより長く使うことができます。
人工芝の「熱しやすく冷めやすい」特性を理解して活用しよう!
人工芝は「熱しやすく冷めやすい」ため、夏場はどうしても熱くなりがちですが、その分冷やすことも容易です。
ですから、その特性をしっかりと理解しておくことで、人工芝は夏であっても快適な空間づくりに十二分に役立ちます。
事前に対策することもできるので、メリットとデメリットをしっかり比較して、どのように設置してどう活用していくのか、じっくりと検討することをおすすめします。

株式会社モノガーデンのゼネラルマネージャー。モノガーデンオリジナル人工芝の商品開発・改良、品質管理責任者。モノガーデンの人工芝施工では主に現場監督を担当、自ら施工もこなす。