人工芝を設置したいと考える方がよく心配されるのが、実は人工芝設置後の水はけ。
メンテナンスフリーで1年中青々とした緑が楽しめる人工芝ですが、水はけが悪くなってしまった結果トラブルに見舞われるケースも少なくありません。
そこで今回は、人工芝を施工するときに注意したい「水はけ」について解説します。
水はけが悪くならないよう、施工時にできる対策・商品選びのポイントについてもまとめて確認しましょう。
これから人工芝の設置を考えている人は、商品や施工を決める前にぜひご一読ください。
人工芝の水はけが悪く感じてしまう理由

市販の人工芝の大半は、よほどの粗悪品でない限り、水をしっかり排出できるよう設計されています。
人工芝は、水が原因となるカビや悪臭といったトラブルを防ぐために、水を通す穴が空いています。
そのため、正しく施工さえすれば、雨や水まき程度ではトラブルになるほど水はけが悪くなることは、まずありません。
それなのに、なぜ人工芝の設置後に水はけが悪いと感じる人が出たり、トラブルが発生したりするのでしょうか。
これは、人工芝を敷く下地、または人工芝の施工が原因で、トラブルが発生している可能性が高いと考えられます。
下地が原因の場合
下地に吸水性がない場合、水の流れる先がなく、水はけが悪くなる恐れがあります。
とくにコンクリートやタイルが下地の場合、吸水性がほぼないため、どうしても水はけが悪くなりがちです。
下地に原因があると、いくら人工芝が水を通すようにできていても、水はけは悪くなってしまいます。
施工が原因の場合
下地に水はけが悪くなる原因があったとしても、適切に施工すれば問題は起こりません。
しかし、施工が適切でなければ、当然水はけも悪くなります。
また、下地には問題がなかったとしても、整地や施工に問題があると、やはり水はけが悪くなる恐れがあります。
人工芝を選ぶ際にチェックしたい水はけ性能のポイント
前述の通り下地や施工への配慮は重要ですが、商品選びも同様に重要です。
なぜなら、人工芝の水はけ性能が、製品によって異なるためです。
ここでは、人工芝に選ぶ際に確認しておきたいポイントを解説します。
水抜き穴が空いている
人工芝の裏地には、水を排出するための「水抜き」穴が空いています。
水抜き穴が多く空いている人工芝であれば、水をより多く通すことができるため、水はけが良い人工芝といえます。
ただし、水抜き穴を開けると表面の芝に凹凸感が出てしまいがちなので、不自然に見えない人工芝を選ぶことが重要です。
表面に大きな影響を出さずに水抜き穴もしっかり開いている高品質な商品もあります。
商品選びの際は、裏地の穴の数や間隔に加え、表面の見栄えにも注意しておきましょう。
裏地に不織布が使われている
人工芝の裏地はさまざまな種類が存在します。
なかでも、不織布が使われている裏地の人工芝は通水性があり、水はけが良い傾向があります。
なぜ不織布なら水はけが良くなるのかというと、不織布が繊維を織り込んだり編んだりした生地だから。
繊維と繊維のあいだを水が通るため、水がたまりにくくなるというわけですね。
毛足が短い
人工芝の水はけには、毛足(パイル)の長さも関係します。
屋外での使用、かつ水はけを重視するなら、20mm~45mm程度のショートパイルの商品がおすすめです。
毛足が長い(=ロングパイル)人工芝は、芝と芝のあいだに水がたまりやすく、水はけが悪くなりがち。
屋内の使用であれば心配ない為、設置したい場所に適したものを選ぶことをおすすめします。
施工時に行いたい人工芝の水はけ対策

いくら水はけのいい人工芝を選んでも、施工方法が適切でなければ、水はけは悪くなってしまいます。
最後は、施工時に配慮したい水はけ対策について解説します。
接着剤・両面テープで水の流れを遮らない
コンクリートやタイルなどに人工芝を敷く場合、接着剤や両面テープを使用します。
接着剤や両面テープで接着する際は、排水経路を塞がないことが重要です。
一般的に吸水性がない素材の場合、排水するための溝や排水口が設置されています。
そのため、接着剤や両面テープを使う場合は、水をうまく溝や排水口に流れるよう誘導しなければなりません。
途中で水をせき止めてしまうと、排水できずにカビや悪臭の原因となってしまいます。
水がどう流れるのかを確認してから、接着剤や両面テープを使用することが重要です。
水はけマットを使用する
コンクリートなど水はけが悪くなりやすい素材の上に人工芝を敷く場合、水はけマットを使用することで排水しやすくなります。
水はけマットは、人工芝を置いて水を流すためのマットで、地面の上に直接人工芝をおく必要がないため、スムーズに排水することができます。
砂利と砂で排水のための層を作る
土の地面の上に人工芝を敷く場合は、排水するための層を砂利と砂で作ります。地面と人工芝のあいだに排水層を設けることで、人工芝の下に水がたまるのを防ぐことができます。
施工時は、砕石と砂を運び設置するエリアに敷き詰めていきます。
ただし、凸凹ができてしまうとそこに水がたまりやすくなるため、しっかりと平らにならしてから人工芝を敷くことが重要です。
排水口がある庭の場合、排水口の高さぴったりに土を入れないと、水が流れなくなってしまいます。
そのため、砂利と砂を盛る場合は、排水口ギリギリになるよう配慮しましょう。
人工芝の水はけが不安ならプロに施工を依頼するのが確実
今回は、人工芝の水はけについて、注意点や商品選びのポイントを解説しました。
人工芝の水はけの良し悪しは、商品の性能と設置場所の下地、施工によって変わります。
いずれも、よく下調べをして各ケースに合った商品や施工をしなければなりません。
個人でDIYすることもできますが、不安な場合はプロに施工を依頼するのがおすすめです。
もし人工芝にカビや悪臭などのトラブルが発生してしまうと、人工芝全体の再施工が必要となります。
高品質な人工芝を使っていた場合、貼り直しは大きな負担にもなります。
人工芝を敷きたいけど水はけが心配、そんな方はぜひプロの人工芝施工業者に相談してみてください。

株式会社モノガーデンのゼネラルマネージャー。モノガーデンオリジナル人工芝の商品開発・改良、品質管理責任者。モノガーデンの人工芝施工では主に現場監督を担当、自ら施工もこなす。